【無職になってしまった】夢を諦めた人
小さな映像制作会社に勤めていた私だが、多忙な毎日を送っていたある日、ふと会社に行きたくなくなって、体調不良と嘘をついて何日か会社を休んだ。
数日ぶり出勤したとき、私は自分でも思いがけず、「仕事辞めます」と社長に言っていた。
小さな会社だったので、社長と話して10分程度、すぐに辞めることができた。
その日の帰り道、自分でも状況に追いつけず、
「あれ?私、仕事辞めちゃった???」と、漫画のように首を傾げながら帰った記憶がある。
映像制作の仕事は私の夢だった。
頑張って就職活動をしてやっとの思いで入った会社だった。
噂通り昼夜問わず忙しくて、
「働き方改革」とか「パワハラ・セクハラ」なんて言葉はまだこの世界には届いてないのかなあと思いながらそれでも仕事が楽しくて仕方なかった。
親や周りの友人も私のモーレツ社員ぶりに少し心配しつつも応援してれていた。
何よりも夢に向かって努力している自分が大好きだった。
一種の自惚れのようなものだけど。
そんな中、いきなり仕事を辞めてしまって、
一週間くらい「なんで仕事辞めたんだっけ?」と自問していた。
その時、仲の良い友人から
会わない?
とラインがきた。
彼女と会うのは半年ぶりくらいだった。
仕事を辞めてからずっと引きこもっていたので、久しぶりに外にでた。
私が無職だってことを行き交う人たちが知る由もないのは分かってるが、恥ずかしくて堪らなかった。
仕事もせずただのうのうと生きてるお前には価値がないんだと言われているような気になった。
友人を待っている間、街の真ん中にたっているだけで、ただただ苦しかった。
友人と会ってからは今まで通り、元気なフリをしていたと思う。
そして、案の定、「仕事はどう?」と聞かれてしまった。
私は、その友人の前では嘘をつく気にもなれず
「仕事ねぇ、辞めちゃったよ〜
楽しかったんだけどね、なんで辞めたのかの自分でもわかんない」と、なるべく重くならないよう笑いながら話した。
友人は最初は驚いたみたいだったが、
「でも、好きだったかもしれないけど、やっぱり辛かったから辞めたんじゃない?
働きすぎだと思ってたし、頑張りすぎたんだよ。少しゆっくり休みなよ」
と、言ってくれた。
その時初めて、人に言われて気づいた。
辛かったから辞めたんだ。
あまりにも簡単でよくある理由だった。
自分はただ、挫折しただけだった。夢を追いかけるほどの根性がなかっただけだった。
続けるほどの自信と熱意がなかっただけだった。
よくある話。ネットでよくみる才能のない人の話。
その日の夜は、悔しくて悔しくて寝れなかった。
それからは、もう何も頑張れる気になれなかった。
何をしてもどうせ出来ないと思うようになった。
大好きだった夢に向かって努力している自分がいなくなってから、
自分のことが嫌いで嫌いで仕方なかった。
「自分なんて死んでしまえばいいのに」と思うけど結局死ぬ勇気もなくて
自分はなんて臆病で弱い人間なんだろうと更に落ち込むの繰り返し。
とうとう辛くなって、なけなしの金で数日だけ実家に帰ることにした。
状況は変わらないけど、この沈んだ気持ちが少しでも晴れればいいと思った。
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